
Green Innovator Academy(以下GIA)は、未来を自らより良く変えようとするイノベーターを育成するという目的のもと、2021年に開講しました。5年目の2025年度は、5期生として社会人は企業の若手リーダー、省庁自治体職員などが約50名参加しました。(また並行して大学生を対象としてもプログラムが実施されています)
今回は、GIA社会人5期生で、株式会社日立製作所 研究開発グループ 所属の伊藤 渉太さんに参加後のインタビューを行いました。
PROFILE
伊藤 渉太(いとう しょうた)氏
所属:株式会社日立製作所 研究開発グループ
2015年入社。入社以来電池に関わる研究開発に従事。2021年からは、リチウムイオン電池の制御技術の開発を行う。2023年には博士号(工学)を取得。
普段はリチウムイオン電池の研究開発をしています。具体的には、リチウムイオン電池を安全に長く使いこなすための制御技術を開発しています。自身で研究を推進するのと並行して、チームリーダーとしてマネジメントにも携わっています。GIAに参加したきっかけは上長からの下命ですが、ちょうどリチウムイオン電池以外の研究対象を模索していたこともあり参加を決めました。GIAの講義や受講生との議論を通して視野を広げるとともに、新規事業の立案を通して社会に必要な研究テーマを見つけられるのではないかと期待して参加しました。
特に印象に残っているのは、有馬純氏(国際情勢)、長谷川洋氏(資源・燃料政策)の講義です。 普段、研究開発という特定の技術領域に集中しがちですが、これらの講義を通じてGX全体を俯瞰する視点や、国レベルでのエネルギー政策の背景など、新規事業を考える上での重要な「大局観」を養うことができました。ここで得た知見は、技術的なシーズをどう社会実装につなげるかという視点を持つ上で、非常に参考になりました。
今回は個人ワーク中心の取り組みでしたが、その分、自分自身の事業案に対して責任を持ち、主体的に深く考え抜くことができました。 特に、「目標に対して実現可能性の高い手段を選択していく」というプロセスの重要性を再認識し、自分の事業案について腰を落ち着けて見つめ直す時間を取れたことは大きな収穫です。自分自身の思考を徹底的に深める良い機会となり、得るものは非常に多かったと感じています。

特に印象に残っているのは福島フィールドワークです。3.11の当時、私は大学生でTVの衝撃的な報道に恐怖を覚えました。そのとき現場で何が起こっていたのかを知るとともに、帰宅困難区域や福島第一原子力発電所の内部に実際に足を踏み入れて肌で感じることは得難い経験であり、持続可能な社会の実現に向けて身が引き締まる思いでした。この経験だけでもGIAに参加した意義があります。特に弊社は原子力発電を担う会社でもあるので、弊社の社員は全員参加すべきフィールドワークであると思っています。
GIA同期である若手官僚の方との出会いが印象に残っています。官僚の方と腰を落ち着けて会話する機会は今まで無かったのですが、官僚の方々が本当に日本のことを考えていることが分かり大変心強いと思いました。また、GIAの卒業生でもある株式会社GREEN GROWTH代表取締役の河野淳平氏も印象に残っています。同じ蓄電池を仕事とする者として、蓄電池事業にスタートアップで参入する勇気と行動力に敬服しました。
―Green Innovator Academyでの学びをどのように普段の業務に活かし、周りに広げていきたいと考えていますか。今回のプログラムで立案した新規事業を、絵に描いた餅で終わらせず、実現できるように動いていきたいと考えています。 また、自分のアイデアを相手に伝えるためのプレゼンテーション手法についても、実践的なスキルを学ぶことができました。この「伝える力」は、研究開発の成果を事業化につなげる場面でも必ず活きると確信しています。ここで得た学びとネットワークを活かし、具体的な成果につなげていきます。
変革の起点を生み出すイノベーター像を目指したいです。GIA開講式での適正検査では、私はアレンジ人材「専門家」に分類されました。研究者なので本当にその通りだと思いましたが、1人で2つの適正を持っていても良いはずなのでコンサル人材「変革者」も目指していきます。目指す未来について、エネルギーの安定供給に関する事業や技術を開発しエネルギー安全保障の実現に貢献したいと思っています。社会の分断は進んでいますが、その原因の1つでもあるエネルギー問題に取り組むことで事態を僅かでも改善できたら本望です。
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