
Green Innovator Academy(以下GIA)は、未来を自らより良く変えようとするイノベーターを育成するという目的のもと、2021年に開講しました。5年目の2025年度は、5期生として社会人は企業の若手リーダー、省庁自治体職員などが約50名参加しました。(また並行して大学生を対象としてもプログラムが実施されています)
今回は、GIA社会人5期生で、株式会社日本政策投資銀行 サステナブルソリューション部 所属の中村 亮太さんに参加後のインタビューを行いました。
PROFILE
中村 亮太(なかむら りょうた)氏
所属:株式会社日本政策投資銀行(DBJ) サステナブルソリューション部
2014年入社。入社後、航空・海外インフラに関するファイナンス業務に従事。その後、新規事業の立ち上げや米国留学を経て、2023年より現職。サステナビリティをテーマに顧客の事業開発サポートを担当。
弊行は「持続可能なインフラ形成」(脱炭素に向けたトランジション)をマテリアリティ(経営上の重要課題)の一つとして捉えています。その中で、サステナビリティ分野(特にGX分野)の最先端のナレッジと、行内外のネットワークを有機的に活用し、中長期的な時間軸にて、国内外の関係者を巻き込みながら、顧客や社会の課題解決に資するビジネスモデルを創出できる(若しくはそれに伴走できる)担い手、また、俯瞰的・複合的な視点を有し、産官学民の触媒として政策提言等も実施できる担い手が、弊部、ひいては弊行として強く求められています。本アカデミーは、GX分野のナレッジ及び外部ネットワーク両面のケイパビリティ獲得に資するものと思い、参加を即決しました。
各業界の第一線で活躍する講師陣からのインプットは、網羅的且つどれも示唆に富んでおり、大変勉強になりました。また、インプットだけではなく、アウトプット機会(講師との対話、受講生同士の議論、授業後の個人振り返り等)が豊富に設けられており、自身の言語化・発信・他者からのフィードバックのループを何度も回すことで、効果的なナレッジ習得が可能となる研修構成であったように思います。特に印象に残っているのは、前田雄大氏(大局と捉える)、岡田武史氏(リーダーシップ)の講義です。GXという地球規模の課題の再認識、それらを踏まえた社会を変革するリーダーシップのあり方等、視座を一気に引き上げていただいたように思います。
今回の取り組みを通じて、自分自身の「WILL(意志・志)」を見つめ直し、言語化できるようになったことに一番の成長を感じます。おっしゃる通り、個人ワークが中心となり、且つ、新規事業案自体は何度もピボットすることとなり、物理的・心理的にも相応に負担はありましたが、新規事業立案のフレームワーク習得(各種AIツールの活用等も含む)は勿論のこと、何より新規事業立案のプロセスを通じて自身のWILLを見つめ直す貴重な機会となり、そのWILLを新規事業案に乗せて本気で発信する(Why me? Why DBJ?)ことが、何かしらの変化の起点となる(本アカデミーのテーマである”Be the Change”)ことを再認識できました。

現場の生の声を聴くフィールドワークの機会は何れも大変貴重でした。特に福島第一原子力発電所の視察は印象に残っています。廃炉作業にかかる膨大な時間、贖罪意識等が痛切に感じられ、なかなか前向きな話をし難い印象も受けましたが、一方で、廃炉等に関わる新技術導入(R&D含む)の動きも見られるなか、SMR(小型モジュール炉)のような話も含め、同産業の発展の突破口につき参加者間で当日議論があったことを覚えています。また、震災後、復興関連の各種補助金等の恩恵を受け、ハード面での整備は進んでいるものの、地域に戻ってこられる住民の数は思うように伸びていないというお話を伺い、震災復興の在り方(誰のための/何のための復興か等)につき、改めて考える契機にもなりました。
本研修で新規事業立案に挑む中で、コーチングを通じて自身の内省・WILLの言語化に寄り添っていただきました。当初は「自分ができる範囲」の挑戦(新規事業)を考えていましたが、コーチングセッションを重ねるにつれ、「自身の問題意識を起点に、組織全体を巻き込みながら進めていく」挑戦という経営視点に意識を引き上げていただき、より本質的な事業案へと昇華できました。また、こうした挑戦を持続可能なものにするためには、仕事と私生活の両立も不可欠だと再認識しました。自身の働き方や想い等を周囲に素直に伝えることで、お互いの理解も深まり、結果としてチームとしての仕事の質も高めていければと思っています。
新規事業コースは、個人ワークが中心とはいえ、他メンバーと壁打ち、そして同じ悩みを抱える者同士で励まし合いながら進めていけましたので、コース全体での一体感が生まれていました。特に1泊2日の合宿で実施した少人数の内省ワークでは、これまで認識していなかった自身の強みや今後に向けた期待等、建設的且つ温かいフィードバックをたくさんいただき、大変ありがたかったです。また、皆さんの最終発表は、心を動かされるものも多く、大きな刺激をいただきました。私は「DBJインパクト投資枠を新設~死の谷を超える伴走サポート~ 」と題してプレゼンをしましたが、事業会社様のGXに向けた挑戦を組織としてサポートできる枠組み・体制をしっかり社内で構築し、具体で是非連携させていただきたく思っています。

本アカデミーは、自身の内省、そしてWILLに改めて気づく機会となるともに、官民の様々な方々とコラボレーションできる”越境”の機会となりました。日々の業務のみでは、目の前の案件遂行や組織の常識等にとらわれ、どうしても視点が低く・狭くなってしまうこともあります。本アカデミーで得たこの感覚は、是非忘れないようにしたいと思いますし、自身が得た学びについてはチームメンバーにも積極的に共有するよう心掛けています。
私が目指すイノベーター像は、「顧客や社会課題の解決に向けた挑戦者であること」「オールジャパンで勝ちにいく成長分野を今一度創っていくこと」、そして「プロフェッショナルであること」です。本アカデミーを通じて獲得・強化したケイパビリティをベースに、単に業務としてGXを扱うのではなく、自分自身の確固たるWILLに基づいた提案や行動を積み重ねることで、周囲を巻き込みながら、本質的な価値を創出できるよう引き続き精進していきたく思っています。また、自分自身だけではなく、弊行がそのような人材を恒常的に輩出していく組織となるには何をすべきか、是非考えていきたく思っています。
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