
脱炭素社会の実現を牽引する次世代のイノベーター育成プログラム、「Green Innovator Academy」。これまで国内外より選抜された大学生・大学院生および企業、官公庁や自治体の職員など500名以上が参加し、グリーントランスフォーメーション(GX)に関する最先端の知識やイノベーション創出に向けた手法を学んできました。第5期目となる今年は2025年9月に開講、学生プログラムではASEAN地域最大のユース組織である「Asean Youth Organisation」と香港で若者の環境教育に取り組んできた「Wofoo Leaders’ Network」と連携し、多様な文化背景を持つ同世代との対話やアジア各国が抱える環境課題の解決の探求を通じて、分野・世代・国境を越えたGX推進力を養います。
本記事では、DXとサステナビリティをテーマとした、タイ・バンコクでのフィールドワークの様子をご紹介します。
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まず初日には、バンコクにあるMicrosoft Thailandを訪問し、テクノロジーを用いた環境責任の追求をテーマに、お話を伺いました。
世界有数の炭素クレジットのバイヤーとして知られている同社の脱炭素戦略や、また同社が展開するGHG排出量の可視化ツールの話など、テクノロジーやAIを活用したGXについて幅広く講義していただきました。参加者からは、グローバルテック企業としての環境責任の重要性など、踏み込んだ質問や議論が行われました。

(Microsoft Thailand Officeでの集合写真)
2日目には、ASEAN地域の若者や起業家を支援するC ASEAN協力のもと、タイ国内の主要な環境問題とそれらがテクノロジーの活用によってどのように解決できるか、グループディスカッションを行いました。

(グループディスカッションの内容を各チーム発表する様子)
午後には、 タイ国内で垂直農法で育てた野菜をサブスクリプションで販売するスタートアップ企業、Distar Fresh社(DISTAR FRESH Medical grade vegetable & superfood farm)を訪問しました。タイ国内で無農薬による垂直農法をなぜ始めたのか、なぜ起業という形を選んだのかなど、CEO個人の経験を踏まえて解説いただききました。

(Distar Freshでの集合写真)
3日目は、AIやIoTを活用し、タイ国内温室効果ガス排出量の可視化ツール開発や脱炭素コンサルティングを行うVEKIN社(VEKIN – Deep Tech for Sustainability)を訪問しました。GHG排出量可視化技術のコアとなる計算方式やAIの活用といったテクノロジーの話から、タイ国内の自主的炭素クレジット制度であるT-VERといった社会制度上の話まで、幅広く解説いただきました。
最後に、国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)のバンコク本部を訪問しました。職員の方々から、アジア太平洋地域における持続可能な開発目標(SDGs)の進捗や、各国政府との協働によるGXの取り組みについて講義をしていただきました。SDGsなど世界的な取り組みとしての大局観を理解し、これまでのフィールドワークでの学びついて再度見つめなす機会となりました。

(UNESCAPホールでの受講生集合写真)
一連の視察を終えた参加者からは、
「 新しいテクノロジーがいかに急速に進化しているか、またそれらのデジタル・ツールやAIが環境問題に取り組む上で、強力で効果的なものかを理解することができた。」
「デジタルトランスフォーメーションが、透明性の高い効率的なカーボンマネジメントに貢献していることを目の当たりにし、非常に刺激を受けた。」
「地域ごとの課題に基づいてビジネス戦略を立てることの重要性を強く学んだ。」
「ローカルなアイデアやプロジェクトが、SDGsのようなグローバルな目標にどのように関連づけられるかを理解できた。」
「さまざまな国からの参加者と関わることで、さまざまな国が環境問題に取り組み、持続可能な開発を促進するためにどのような戦略を策定し、実行しているのかについて、視野を広げることができた。」
といった感想が寄せられました。参加者は11月末に開催する最終発表に向けて、年齢や国籍を超えてチームを組み、タイ国内の環境問題を解決するビジネスアイデアの立案、検討を進めていきます。
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