
Green Innovator Academy(以下GIA)は、未来を自らより良く変えようとするイノベーターを育成するという目的のもと、2021年に開講しました。5年目の2025年度は、5期生として社会人は企業の若手リーダー、省庁自治体職員などが約50名参加しました。(また並行して大学生を対象としてもプログラムが実施されています)今回は、GIA社会人5期生でJX金属株式会社 サステナビリティ推進室 所属の杉山 奈緒子さんに参加後のインタビューを行いました。
PROFILE
杉山 奈緒子(すぎやま なおこ)氏
所属:JX金属株式会社 サステナビリティ推進室
2021年入社。2024年から「サステナブルカッパー・ビジョン」というプロジェクトにてサステナブルな銅の供給を推進する業務に従事。
主に、リサイクル銅製品の推進に関わる仕事をしています。資源循環の観点から、事業としてどのように価値を創出していくかを考える業務に取り組んでいます。GIAに参加したきっかけは、本プログラムに参加していた先輩から紹介を受けたことでした。GIAを通じて、様々な視座を得られる事や、企業の枠を超えて、経営者や官庁関係者ともフラットな関係性で議論し、繋がりを持てるという話を聞きました。自分が携わってきた領域にとどまらず、物事の捉え方の幅を広げられるのではないかと感じ、参加を決意しました。同世代の多様なバックグラウンドを持つ方々の事を知りたいという気持ちも、参加を決めた理由の1つです。
特に印象に残っているのは、前田雄大氏(大局を捉える)、廣田大輔氏(水素・アンモニア市場戦略)、小山師真氏(ルールメイキング)の講義です。 これらの講義は、単に知識として新しい概念を学ぶだけでなく、その後のプログラムの核となる「政策提言」を実際に検討し、進めていく上で非常に役立つ実践的な内容でした。GX推進には多様な視点が必要ですが、市場戦略やルール形成といった具体的なアプローチを学べたことで、自分たちの提言を形にするための重要な視点や指針を得ることができたと感じています。
今回のグループワークを通じて、自分自身の「特徴」や「強み」に改めて気づくことができた点が一番の成長です。特に印象的だったのは、自分では意識していなかった点を、周囲のメンバーから「強みだ」と言ってもらえたことでした。これは非常に新鮮で、大きな学びでした。キャリアの異なるメンバーとチームを組み、ゼロから人間関係を構築することは簡単ではありませんでした。密にコミュニケーションを取り合いながら1つひとつ摺合せていく中で、自分がこのグループの中でどのように立ち回り、貢献できるのかを自然と理解することができました。多様性の中で自分なりの役割を見出し、関係性を築くプロセスを経験できたことは、非常に貴重な経験でした。

立場が異なれば、同じテーマであっても見え方や意見が大きく異なるということです。
福島やタイでのフィールドワークでは、政府関係者、民間企業等、複数の立場の方々からお話を伺う機会がありましたが、それぞれが置かれている状況や責任によって、課題認識や優先順位が全く異なることを痛感しました。
政策提言は、受け手に受け入れられなければ机上の空論で終わってしまいます。そのためには、現場で何が起きているのか、どのような制約や本音があるのかを理解した上で、提言に落とし込む必要があると感じました。フィールドワークを通じて、現場の声をいかに吸い上げ、現実に即した提言に繋げていくのかの重要性を、学びました。

共に切磋琢磨したグループのメンバーとの出会いです。様々な業界から集まり、利害関係を意識することなく、「日本政府への政策提言」という1つの目標に向かって知恵を出し合う経験は、社会人になってからはなかなか得られないものだと感じました。それぞれが異なるキャリアを持っていたからこそ、多角的な視点が生まれ、個人では到達できなかった提言に仕上がったのだと思います。この経験を通じて、多様性が持つ力、共創の価値を強く実感しました。また、一緒に取り組む中で、メンバーの仕事に対する情熱や拘りに触れ、大きな刺激を受けました。自分の仕事に誇りを持ち、真剣に向き合っている人というのはやはり魅力的で、私自身もそうありたいと感じました。

今回のアカデミー、特にグループワークを通じて再発見できた自分の強みや特徴を、決して一過性のものとせず、今後さらに意識的に伸ばしていきたいと考えています。 多様な関係者の中で円滑にプロジェクトを推進する力や、チーム内での最適な立ち回りといったスキルは、部署の垣根を越えて取り組んでいる自社のサステナビリティ推進業務においても重要です。ここで得た気づきを、会社というフィールドにも積極的に持ち込み、業務におけるチームビルディングやプロジェクト推進に活かすことで、組織全体の成果に貢献していきたいと考えています。
私は所謂カリスマ性があり、人の前に立って引っ張っていくタイプではないので、イノベーターには向いていないと思っていました。しかし、イノベーターの在り方は1つではなく、周囲の声を丁寧に拾い、物事が前に進む土台を支える「縁の下の力持ち的なイノベーター」もあってよいのではと思うようになりました。GIAを通じて、価値観の異なる人たちが安心して意見を出し合える場づくりや、異なる視点を繋ぎ合わせる役割の重要性を強く感じました。そうした役割を担いながら、結果として新しい価値や変化が生まれることに関われる人でありたいと思っています。
目指したいのは、「多様性が尊重され、活かされる社会」です。実はこのテーマは、大学時代の卒論の題材にするほど、気づけば関心を持ち続けてきたものです。今回、多様性が単なる理想論ではなく、より良いイノベーションを生み出す強さそのものであることを学びました。多様な人や考え方を繋ぎながら、小さくても確かな変化を積み重ねていけるイノベーターを目指していきたいです。
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