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【メンターインタビュー】“答えのない問い”に挑む ― GIAが後押しするイノベーターの第一歩(インクルージョン・ジャパン 竹丸淳志 インタビュー)

【メンターインタビュー】“答えのない問い”に挑む ― GIAが後押しするイノベーターの第一歩(インクルージョン・ジャパン 竹丸淳志 インタビュー)

Green Innovator Academy(以下GIA)は、「未来を自らより良く変えていこうとするイノベーターの育成」を目的に、2021年に開講しました。これまでに企業の経営幹部候補や若手リーダー、ベンチャー企業のCEO、省庁・自治体職員、学生など、2025年3月時点で400名を超える卒業生を輩出、社会の幅広い分野で活躍されています。

今回は社会人を対象にした「新規事業コース」にて受講生メンターを務めていただいている、竹丸淳志氏にお話をうかがいました。


PROFILE

竹丸 淳志(Atsushi Takemaru)氏 ※写真左
インクルージョン・ジャパン株式会社 取締役
マッキンゼー&カンパニーにてアソシエイト・パートナーとして主に製造業の新規事業開発・全社変革・海外拠点支援(シカゴ・タイ・チェコ)などの陣頭指揮ののち、ESG領域を中心にアーリーステージスタートアップに投資する独立系ベンチャーキャピタル、インクルージョン・ジャパンに取締役ジェネラルパートナーとして参画。投資案件の発掘から評価、そして投資先企業の価値最大化を追求する投資後の二人三脚での成長支援まで一気通貫で担当。これまでにディープテックからSaaS、地域イノベーションまで、幅広いスタートアップにリード投資・リード投資家とし全方位的な支援を実施。大学・大企業・行政を結ぶ形での新産業創出を推進している。東京大学経済学部経営学科卒、マサチューセッツ工科大学(MIT) スローンスクールオブマネジメント(MBA) 修了。九州大学発脱炭素ディープテックスタートアップである株式会社JCCL社外取締役。

小関 友一(Yuichi Ozeki) ※写真右
一般社団法人Green innovation 新規事業開発プログラム責任者
株式会社リクルート AirプロダクトDivision2部 部長
東京大学卒。北京大学EMBA。旅行事業、海外人材紹介事業にて、経営企画、事業開発、事業企画、営業推進、営業、人事など様々経験し、現在SaaS・Fintech事業にて新規事業開発を担当。これまで、JALじゃらんパック新事業の立ち上げ、海外新拠点の立ち上げや、コロナ禍で1年300名の営業増員を成功させるための仕組み・組織基盤づくり、新事業の立ち上げなど、0→10フェーズの推進多数。


― 竹丸さんには1期からメンターとしてGIAに関わっていただいていますが、GIAの参加者に対してどんな印象を持っていますか?

GIAに参加される方は、「もやもや」を抱えながらも、どうにかしたいと思っている人たちが多いと感じます。一方で、私が普段ベンチャーキャピタル(VC)として接する起業家は、何の仕掛けもなくても自ら突き進むタイプ。でも、起業家のように即座に立ち上がれる人はごく一部ですよね。

GIAは、「もやもや」を抱えながらも、どう行動するべきかわからない人たちの背中を押す仕組みとして、非常に重要だと感じています。特に大企業や行政で活躍する方々が、自社や社会の枠を越えて「自分発のイノベーション」に踏み出す場として、貴重なプログラムだと思います。また、将来の日本を担うイノベーターや、我々の投資先となりうる起業家候補と早期に出会える場としても、大きな可能性を感じています。こうした出会いが、企業の新規事業開発やCVC活動ともつながると実感しています。

― 竹丸さん自身がキャリアを進めている上で大切にされている価値観を教えてください。

2つあります。
1つめは「人よりも半歩先へ行く」こと。2つめは「自ら問いを立てる」ことです。

「人よりも半歩先に行く」ことは、外資系コンサルファームへの就職を選択したことが関係しています。商社や銀行に新卒入社することが主流だった時代に、外資系コンサルという道を選んだ時、「リスクを取ったね」と周りから言われました。しかし、私自身はリスクを避けて生きたいタイプ。「楽しく生きる」ためには、常に世の中の「半歩新しい」、これから来るような仕事に身を置くべきだという考えがありました。証券会社すら潰れる時代が来ると言われていた当時、私は来るべき未来を見据え、先んじて動くことが大切だと考えていました。新卒時代と変わらず、今でも、今の仕事の延長線上だけではない、少し先の未来に目を向けることは非常に大切だ、と考えています。ベンチャーキャピタルとしても、社会の変化を少し先取りして、新たな市場や産業を形づくることを意識しています。単なるトレンド投資ではなく、技術・人材・産業の三位一体で未来をデザインしていく姿勢を大切にしています。特に、これまでのキャリアを堅実に歩んできた人ほど、今の仕事に加えてもう一歩、半歩踏み出すことが、これからの時代を生き抜く上で大切になると思います。

2つめの「自ら問いを立てる」は、AIが日々進化する中で大切だと思うようになった価値観です。誰かが作った問いに答えることはAIができるようになります。だからこそ、能動的に問いを設定し、それに対して解を見出していく力が非常に重要です。私はVCという立場で仕事をしていますが、これはまさに「自分で問いを立てる」ことを追求できる環境です。VC業界はまだ新しい分野ですが、私たちはその中でも積極的に「半歩先」を行く挑戦をしています。例えば、日本で初めてESGスタートアップのアクセラレーションプログラムを立ち上げたり、日本初のサーチファンド形式の事業承継ファンドを設立したりと、業界のオーソドックスを超えた取り組みを重ねています。また、投資先としても、社会課題解決型のESGスタートアップだけでなく、次世代製造、食・農業、AI・デジタル領域など、幅広い分野で「まだ答えのない問い」に挑む起業家を支援しています。資金提供だけでなく、事業開発・組織づくり・大企業連携、さらには採用支援や海外展開の伴走まで、実務面でも共に挑戦していくのが私たちのスタイルです。

― GIAのプログラムが受講生にもたらす価値について教えてください。

GIAでの学びは、たとえ今すぐではないとしても、各個人にとって人生のどこかのタイミングでイノベーションのきっかけとなる「種」を育むのではないかと思っています。心に「もやもや」を感じた時、GIAで得た新しいアプローチや視点が、その解決策を見つけるヒントになるはずです。また、GIAの参加が社内外を問わず「少し新しいこと」や「これまでの延長線上ではない取り組み」に挑戦するきっかけとなると思います。

― これまでのGIAで印象的だった受講生の成長について教えてください。

参加者の方々には、大きく分けて二つのタイプがあると感じました。

一つは、これまで会社で培ってきた経験や人脈を積極的に活用しようとするタイプ。もう一方は、現在の業務や役割の延長線上で、どうにか新しいことを始められないかと模索するタイプ。後者のマインドセットが大きく変化していったところが印象に残っています。

彼らは、自社への愛着や、これまでの仕事で培った自信を持っている傾向にありました。大企業で求められる優れた調整能力をお持ちがゆえに、当初は、事業プランを考える際も、「自社の事業部が推進しているテーマに合わせよう」「会社のリソースをうまく活用しよう」といった、既存の枠組みの中で綺麗にまとめようとしていたんです。一見、彼らのプランは魅力的なプランに見えるのですが、実際に実現することは難しいことがほとんどです。

イノベーションを起こすうえで大切なのは「綺麗にまとめる」ことではなく、「本当にやりたいこと」「誰を喜ばせたいのか」という純粋な想いを最優先すること。そしてそれを実現するために、今持っているリソースをどう活かせるかと考えることです。今後参加される方も、そういった思考にシフトされることを期待していますし、そしてその想いを、現実のリソースや戦略にどう落とし込むか-そのプロセスを一緒に考えるのが、私の役割だと考えて、全力でメンタリングさせていただきます。

― 最後に、この記事を読んでいるGIAへの参加を検討されている方、さらには未来の起業家や、投資を検討されている方へメッセージをお願いします。

VCの仕事は、創業者のビジョンに深く共感し、その実現を信じ抜くことから始まります。あくまで主役は創業者です。私たちはその一番の理解者であり、時には壁打ち相手となり、共に汗をかくパートナーでありたいと考えています。GIAのメンタリングにおいても、同じ姿勢で臨んでいます。

GIAのプログラムを通じて一歩も二歩も踏み出されて、「半歩先」の未来を共に創っていけるような、情熱と実行力を兼ね備えたすべての挑戦者とお会いできることを心から楽しみにしています。

― 本日は貴重なお話をありがとうございました!

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