一般社団法人Green innovationは、関西学院大学における初めての脱炭素テーマ演習である「PBL特別演習012『Green innovation』」の運営を2023年度よりサポートしています。
本科目では、各分野の最前線で取り組む実践者の講義や脱炭素事業に取り組む企業等の実践現場訪問から学び、脱炭素実現のために必要な社会のシステムチェンジを生むイノベーションとは何かを探求し、必要な基礎的スキルと多角的な視座を身につけることを目的としています。2025年度の1つ目のフィールドワークとして、阪急阪神不動産株式会社 開発事業本部 都市マネジメント事業部 梅田ビジョン推進グループ 課長 大亦泰薫様、課長補佐 中野草太様、阪急阪神ホールディングス株式会社 グループ経営企画室 サステナビリティ推進部 課長 村尾友寛様のご案内のもと、グラングリーン大阪を訪問させていただきました。本記事では、そのフィールドワークの様子について紹介します。
まず初めに広大な芝生広場があるサウスパークを案内していただき、「盛り土により広場の周りを囲うことで、子供が道路に飛び出ることなく遊び回れる安心感をつくっている」「広場にわずかな傾斜をつけることで狙った方向に座って目線が向き合わないように仕掛けを施している」など、この場所を落ち着ける空間にするためのざまざまな工夫があることを教えていただきました。また、使用済みパラグライダーを再利用したレジャーシートや、広場で利用できる椅子の無料貸し出しなど、環境に配慮した取り組みについても学ぶことができました。
また、サウスパーク内にあるPLAT UMEKITAも見学しました。ここは『エシカルテインメント~新しい時代の価値観を、楽しみながら知る・学ぶ』をテーマに、アートやカルチャーをかけあわせた展示やワークショップなど、多彩なイベントを開催する”未来のための遊び場”。建物内にはうめきた公園やグラングリーン大阪の魅力を知ることができるスペースや、ちょっと先進的なモノ・コトについて体験できるIDEA LAB.など、まちや公園を豊かに楽しく過ごすためのヒントがたくさんありました。IDEA LAB.の展示には、身近な音を集めて自分だけの“ねるまえの音”を作るワークショップなど、楽しいコンテンツが多数展示されており、遊びを通して自然と学びを深めることができました。
その後、現在工事が進められているノースパークも案内いただきました。2027年には森や滝を含む約20,000㎡の自然豊かな憩いの空間が完成し、都心の一等地に多様な生物が生息する環境を整えることで、生物多様性を促進するスペースが誕生します。
当日は、生物多様性に配慮した緑地整備の目標誘致種56種を示すパネルとともに、グラングリーン大阪における温室効果ガス削減の取り組みや、再生可能エネルギーの活用などについても解説いただきました。さらに1600本以上の樹木を設置するなどCO2排出削減に積極的に取り組んでおり、また梅田の地中に水が多く含まれている特徴を利用した帯水層蓄熱により、ヒートアイランド抑制にも貢献していることを学びました。山などの元々あった自然から公園を作るのではなく、1から公園を作ることで鳥などの生物が住める環境を創造し、生物多様性に貢献しています。
最後に、阪急阪神ホールディングスが掲げる、大阪梅田エリアを世界と関西を繋ぐ国際交流拠点にする構想「梅田ビジョン」やグラングリーン大阪が行っている環境問題対策の詳細などについて講義をしていただきました。
講義後には質疑応答の時間が設けられ、生徒からは、
「いま観光地でゴミ問題がよく取り上げられるが、グラングリーン大阪はどのようにして綺麗に保っているのか。」
「たくさんの種類の植物があったが、植物同士の相性をどのように考慮しているのか。」
「天然芝の管理は大変だと思われるが、そこまでして天然芝にこだわる理由は何か。」
などの質問が寄せられました。積極的な質問に、議論は大変盛り上がりました。
一連の視察を終えた参加者からは、
「グラングリーン大阪が想像の何倍も、さまざまなプロセスを経て緻密な計画のもと建設された憩いの場所であったことに驚いた。」
「植栽によるヒートアイランド対策やCO2削減、梅田が元々湿地帯であることを生かした帯水層蓄熱やバイオガス発電など、持続可能で最先端の取り組みに好奇心を掻き立てられた。」
「直接お話を聞くことで、芝生広場の傾斜の意図などの細かな工夫についても知れてとても良かった。」
といった感想が寄せられました。
実際に脱炭素事業に取り組んでいる場所・企業を訪れ、お話を聞くことで、どうすれば自分たちも脱炭素に関われるのかを知ることができる、大変貴重な機会になりました。
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