Green Innovator Academy(以下GIA)は、未来を自らより良く変えようとするイノベーターを育成するという目的のもと、2021年に開講しました。2024年度は、企業の経営幹部候補や若手リーダー、ベンチャーCEO、省庁職員、自治体職員など60名が参加しました。(また並行して大学生を対象としてもプログラムが実施されています。)
今回は、株式会社JERAの門脇さんに参加後のインタビューを行いました。
PROFILE
門脇 駿也(かどわき しゅんや)氏
株式会社JERA
国内ゼロエミッション火力推進統括部 国内ガス火力事業部
水素供給事業開発ユニット
2019年入社。発電所での運転・保修業務を経て、水素・アンモニア燃料関係の開発業務へ従事。
2021年より現在の部署に着任し、主に自社の火力発電所と周辺立地企業の脱炭素化を目標に、水素・アンモニア供給拠点の構築を検討してきました。地域全体のエネルギー転換を加速させるため、自治体主催のカーボンニュートラル協議会などに参加し、地域特性を踏まえた水素・アンモニア供給拠点の具体的な構想策定を進めています。
現在、私が携わっている協議会では、多岐にわたるステークホルダーとの利害調整を行いながら、地域全体にとって最適な絵姿を描くことが求められます。しかし、地球温暖化に伴う社会課題が複雑化する中で、ステークホルダーの範囲も拡大し、利害関係もより複雑になっており、これまで以上に高い視座と多様なステークホルダーと合意形成を図るためのコミュニケーション能力が不可欠であると痛感しています。そのため、「総合的な問題解決力」と「合意形成力」を身に付けたいと思ったことが参加の理由です。
各々の専門性を持った講師と受講生との対話を通して新たな発見があり、異分野交流の重要性を感じました。
特に小山師真氏のルールメイキングの講義は、既存の「ルール遵守」を前提に業務に取り組んできた私にとって、目から鱗でした。日本の強みである技術開発・商品開発、営業努力といった側面と、これまで日本企業があまり行ってこなかったルール形成を組み合わせ、新たな市場を創出することが大切だと気付かされました。
政策提言というフレームや、業種やキャリアが異なる仲間とのチーム編成など、普段ない経験も多かったと思います。ご自身のなかでどのような成長を感じられますか。
複雑な課題を解決する際の「対話」の重要性を学びました。
単なる情報共有ではなく、対話を通じた認識共有・当事者意識の醸成こそが、人や組織を動かし、実行性を高めることに繋がることを実感しました。多様なバックグラウンドを持つメンバーとの対話は、試行錯誤の連続でした。それぞれの専門知識や経験に基づく意見が飛び交い、時には意見が衝突することもありましたが、そうした議論や対話を重ねることで、多角的な視点から課題を捉え、より深く理解することができたと思います。
また、普段の業務では触れることのない、政策提言というプロセスを経験できたことも大きな成長に繋がりました。政策立案の背景にある考え方や、関係各所との調整の重要性など、新たな視点を得ることができたからです。政策提言を通して、以前よりも多角的な視点で物事を考えられるようになり、考察力も深まったと感じます。今後の業務においても、多様なステークホルダーとの対話を重視し、より良い社会の実現に貢献していきたいと思います。
上海のフィールドワークで目の当たりにしたのは、EV・自動運転バス・充電ステーション等の最先端の技術導入が急速に進んでいる姿でした。中国の技術開発から商用化までのスピードの速さと産業競争力強化のために官民一体となって進めていく気概を実感しました。社会主義国でありながら、資本主義的に動き、市場経済に大きな影響を与えており、それぞれの利点を上手く取り込み発展を続けている点が印象的でした。
政策提言チームのメンバーとの出会いです。
最初のリーダー決めで、私がチームリーダーに選ばれました。私のリーダーとしての役割は、メンバー間の初期のコミュニケーションを円滑にし、議論の方向性を定めるための、一時的な役割に過ぎなかったと思っていますが、政策を検討する過程で、個々人が課題意識とリーダーとしての自覚を持ち、互いを尊重し、支え合う関係性を築き上げていくことができました。
「リーダーは一人ではなく、全員がなりうる。そして、状況に応じてリーダーシップの所在が変化する。この柔軟性こそが、硬直した組織にはないオープンイノベーション『共創』を生み出す源泉」であることを強く感じました。
学びを実践へと繋げる第一歩として、得られた知見を所属部署のメンバーと共有しました。課題意識の共有とリーダーシップの醸成を行いたかったからです。今後は、部門や社内外の垣根を越えて「将来の脱炭素社会を作る若手の共創の場」を生み出したいと思っています。
「評論家に留まらない、実行力のあるイノベーター」です。
GIAでは、政策提言のプロセスを学ぶことができました。一方で、ついついマクロな視点で物事の判断を行いそうになることがありました。政策により裨益する人々や、実行に移す人々の目線が足りなかったと実感しています。マクロとミクロの視点両方を持ち、実行性の高い施策を提案できる人材になりたいです。
そして、国内に大規模な水素・アンモニア供給拠点を構築したいです。将来的には世界のエネルギー問題に視線を向け、周辺に広がるその他の社会課題も同時解決できるようなイノベーションを実現したいです。今回のGIAで出会えた方々のように共通の課題意識を持った人々と協働できたら嬉しいですね。
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