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ジョブズでもマスクでもない等身大のイノベーターに。村田直哉氏(株式会社JERA)

ジョブズでもマスクでもない等身大のイノベーターに。村田直哉氏(株式会社JERA)

Green Innovator Academy(以下GIA)は、未来を自らより良く変えようとするイノベーターを育成するという目的のもと、2021年に開講しました。3年目の2023年度は、3期生として社会人は企業の若手リーダー、ベンチャーCEO、市長、省庁自治体職員などが60名参加しました。(また並行して大学生を対象としてもプログラムが実施されています。)

今回は、GIA社会人3期生で、株式会社JERA広報部広報ユニット所属の村田直哉さんに参加後のインタビューを行いました。

PROFILE

村田 直哉(むらた なおや)氏
株式会社JERA 広報部 広報ユニット
2013年中部電力株式会社入社。2021年より株式会社JERAに転籍し現職。

―はじめに、村田さんの普段の仕事内容を教えてください。

現在、企業広報として従事しています。当社は国内外で多くの火力発電所を保有する発電事業者ですが、2050時点で国内外の当社事業から排出されるCO2の実質ゼロに挑戦しています。私はこうした脱炭素戦略をステークホルダーに広くご理解いただくための活動を行っています。

―なぜGreen Innovator Academyに参加されたでしょうか。

参加したきっかけは環境問題やサステナビリティに対する視野を広げたいと考えたためです。普段はGXのテーマに対して「電力」という特定の視点から向き合う機会が多く、以前から電力以外も含むGXやサステナビリティの大局を学びたいと感じていました。

―特に印象的な学びを教えてください。

国際的なルールメイキングがどのような力学で進んでいくのか、日本や企業はこれにどう立ち向かうべきか、といったテーマに関心があり印象的な学びとして記憶に残っています。私が所属している会社もまさに欧州主導の気候変動に係るルールによって大きな影響を受ける立場にあり、自分事として考えを巡らせ、時には講師にも直接質問をぶつけながら講義に参加したのを覚えています。

―共創を推進する力を身に着ける共創価値創造では、村田さんは浮体式洋上風力発電推進に関する政策提言に取り組まれました。ご自身でどのような成長を感じられますか。

政策提言に取り組むのは初めてのことでしたので、政策検討のフレームワークやそれらの枠組みを用いた議論など何もかも新鮮でした。そのなかでも特に、政策提言という難しいテーマに対してバックグラウンドの異なる多様なメンバーで取り組む際の、相乗効果の大きさと運営の難しさを学べたことが大きな成長だったと感じています。

私のチームには、官公庁やメーカー、商社など勤務先や性年代の異なるメンバーが所属していました。ようやく黎明期を迎えたともいえる日本の洋上風力は幅広い領域に課題が山積しており、こうした課題に向き合う際に、メンバーの専門の多様性が役立ったと感じています。一方で、業務の繁忙状況や前提知識などが一様ではないメンバー間で議論を進めることについて、会社業務では経験することのない難しさも感じました。

―GIAでは現場での学びも大切にしています。どのようなことが印象に残っていますか。

できる限り幅広い関係者の生の声を聞き、多くの現場に足を運ぶことを心掛けながら、浮体式洋上風力の先進地スコットランドでのフィールドワークに参加しました。

印象に残っているのは、洋上風力のO&M拠点を訪れた際に見た、雑然と置かれたさくさんのアンカーやチェーンの大きさです。これらは実は石油・ガス産業で使用される製品だったのですが、浮体式洋上風力を設置する際はさらに大きなものが必要という説明を聞いて、洋上風力産業が生み出す経済波及効果の大きさを肌で感じました。

同時に、アンカー・チェーンなどの浮体式関連部品メーカーは、考えていた以上に石油・ガス産業からのトランジションが中心であることもわかりました。英国ほどこうした強みを持たない日本における浮体式洋上風力関連のサプライチェーン構築のための政策の重要性を実感しました。

―プログラム中には各界の第一線で脱炭素社会を推進する講師や共にプログラムを受講した同期の仲間など、たくさんの人と出会い話されたと思います。特に心に残る出会いを教えてください。

GIAに参加して最も良かったのは、自分とは異なるフィールドでGXに取り組んでいる多くの仲間に出会えたことです。その出会いのすべてが非日常・刺激的で心に残っています。私の仕事柄、「エネルギー」や「自社のこと」については詳しくなっていきますが、その一方で視野が段々と狭まっているという自覚がありました。エネルギー以外でGXに取り組む講師の話や仲間との議論・対話の中で、視界が段々と開け、そして自分自身の意識が変化していくのを感じました。

―GIAでの学びをどのように普段の業務に活かし、周りに広げていきたいと考えていますか。

私はコーポレート部門、特に広報、報道・IRといったキャリアが長く、GIAの講義を通じて得たGXの大局的な知識や高い視座は、こうした幅広いステークホルダーとのコミュニケーションの質を高めてくれるだろうと感じています。また、現場になるべく多く足を運ぶ、ちょっとした挑戦をしてみるなど、小さなことからGIAでの学びを日々の業務に活かしています。

―最後に、村田さんが目指すイノベーター像を教えてください。

これまでイノベーターについて意識する機会があまりなく、GIA参加の前までは、イノベーターはスティーブ・ジョブスやイーロン・マスクのような大きいことを成し遂げた人を指すものと勝手なイメージを持っていました。ですが、GIAで出会った講師や仲間の姿をみて、社会に変革をもたらしたという結果ではなく、ひたむきに変革を求める姿勢こそがイノベーターにとって重要なのではないかと感じています。そして、そういったイノベーターが増えることが、社会変革につながる大きな流れにつながると思っています。

正直なところ、まだ自分の中で目指すべきイノベーター像は明確にイメージできていません。ですが、GIAを通じて、実際にGXの現場に飛び込み自らで何かを変えてみたい、と小さいながらも自己の意識に確実な変化が生まれています。身近で小さなことでもよいので変革に向けてひたむきに挑戦する。まずはそんな等身大のイノベーターを目指していきたいと考えています。

―村田さん、素敵なお話をありがとうございました。

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