Green Innovator Academy 第5期 学生プログラムを修了しました

Green Innovator Academy 第5期 学生プログラムを修了しました

一般社団法人Green innovation(代表理事/共同代表:菅原聡、理事/共同代表:坂野晶)は、2030年までに脱炭素社会の実現を牽引する次世代のイノベーター1,000人の輩出を目指す「Green Innovator Project」の一環である「Green Innovator Academy」(以下、本アカデミー)を2025年9月20日に開校し、11月30日の最終発表をもって修了しました。

本アカデミーにはこれまで、国内外より選抜された大学生・大学院生および企業、官公庁や自治体の職員など500名以上が参加し、グリーントランスフォーメーション(GX)に関する最先端の知識やイノベーション創出に向けた手法を学んできました。

第5期目となる今年は、学生プログラムではASEAN地域最大のユース組織である「Asean Youth Organisation」と、香港で若者の環境教育に取り組んできた「Wofoo Leaders’ Network」と連携し、多様な文化背景を持つ同世代との対話やアジア各国が抱える環境課題の解決の探求を通じて、分野・世代・国境を越えたGX推進力を養いました。

本記事では、日本(長野県松本市)、香港、タイ(バンコク)、フィリピン(マニラ)でのフィールドワークを経て、それぞれのチームが発表した環境課題とその解決策の提案内容を紹介します。

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<日本(長野県松本市)>
課題テーマ:How can we spread the civil climate action more among the citizens?

■松本チーム①の発表内容

「松本市における「ゼロウェイストアクション」達成に向けた若者のエンパワーメントに関する提案~若者の環境に関するアクションを増やすために~」
環境課題への行動意欲低下をボトルネックとして捉え、学校での探究学習に環境テーマを組み込み、行動実践まで伴走する政策を提言。カリキュラム内で実際に行動する機会を提供し、将来の主体的行動へつなげることを狙いとしました。

■松本チーム②の発表内容

「信頼でつなぐ『再エネ』の輪:アンバサダーと学校を拠点とした導入促進モデル」
家庭部門が市全体のCO2排出量の約3割を占める点に着目し、再生可能エネルギー導入促進策を提案。0円ソーラーモデルへの不信感や情報アクセスの不十分さ等を課題とし、松本市内の小学校へ出張相談や学校での太陽光発電に関する教育プログラムを実行する「再生可能エネルギーアンバサダー」によって情報の透明性確保を提案しました。

■講評者からのコメント
松本市環境エネルギー部 鈴木課長から実現可能性への指摘があったものの、両チームは論点整理と回答を通じて疑問を解消し、活発な対話が行われました。同部 北澤氏からは、市民の現状に寄り添った提案である点が高く評価されました。

<タイ(バンコク)>
課題テーマ:How might we leverages digital technologies to promote sustainable urban living and responsible industrial practices, with a focus on youth engagement, cross-cultural collaboration, and regional identity building through digital innovation.

■バンコクチーム①の発表内容

「若者の脱炭素行動促進のためのデジタルプラットフォーム:Asean Youth Carbon Network-」
バンコクをはじめとする東南アジアで急速に進む都市化により、CO2排出量が増加している点を課題として捉えました。この課題に対して「ASEAN Youth Carbon Network」というデジタルプラットフォーム構築を行い、ASEAN各国の若者がデジタル技術を活用し、脱炭素排出量を把握・削減する取り組みの促進を提案しました。

■バンコクチーム②の発表内容

「SORTIFY-Smart Recycling Ecosystem Technology+Behavior- SORTIFY~スマートリサイクル技術による資源循環の促進~」
バンコク市内の路上を実際に探索して「深刻化するごみ問題」に着目しました。この問題に対してAI技術とごみ箱を組み合わせたリサイクル推進システムを提案。まずは大学周辺で試験導入し、市民のリサイクル行動の促進をしつつ、都市全体の環境、社会、経済の好循環創出を目指しました。

■講評者からのコメント
South Pole社 Wiriya Rattanasuwan氏から各チームに対して「カーボンフットプリントの可視化からどのように産業・都市の現場で実装していくかという点が印象的だった」「課題の提示からAIスマートビンによる解決策が論理的でわかりやすかった」とコメントいただきました。両チームとも、フィールドワークを通じて課題を深掘りし、若者がテクノロジーを活かして政策実装に挑む姿勢が高く評価されました。

<香港>
課題テーマ:How might we engage citizens, communities, and businesses to co-create circular solutions together?

■香港チーム①の発表内容

「サステナビリティ特化型ソーシャルメディア・プラットフォーム:Eco+」
過剰消費や低いリサイクル率など、環境意識と行動実態のギャップを課題として捉えました。主に大学生を対象とした調査結果をもとに、サステナビリティ特化型SNS「Eco+」を提案。リサイクル学習コンテンツ、ボランティア紹介、地図機能、ポイント制度などを組み合わせ、日常的な行動変容を促す仕組みを構築しました。

■香港チーム②の発表内容

「香港国内・循環型コンポストプラットフォーム:CompostGo」
香港で1日約3,400トン発生する食品廃棄物と、企業のESG報告に必要なデータ追跡の不十分さを課題として捉え、IoTを活用した都市型コンポストプラットフォーム「CompostGo Hong Kong」を提案しました。スマートスケールやQRコード、GPS追跡を組み合わせ、企業がHKEX基準に対応したESGデータを取得できる仕組みを構築し、食品廃棄物の循環利用を促進するモデルを提示しました。

■講評者からのコメント
Hanin Group CEOのPaul Chan氏よりチーム①に対して「SNSを活用し、環境行動を日々のデジタル習慣に組み込むことで、ユーザーの行動意欲を高めることができる」と評価がありました。一方でDash Consultancy & Management の創設者・ディレクターである Daniel Lo 氏からは、「ユーザーの行動データの精度をどのように担保するのか」という質問が挙げられ、チームは段階的なPoCとA/Bテストによる検証方針を示しました。また、2024 Chairman of Asia Pacific Development CouncilのNaomi Chan氏からはチーム②も対して「企業のESGギャップを補完する発想が非常に実務的」と評価される一方、「主要パートナーを把握」「データ検証の主体」「オフィスでの実装の現実性」などに対して鋭い質問が寄せられました。これらに対し、チームは清掃スタッフによる運用設計、ESGコンサルとの連携、物流・追跡体制の実現性などを説明し、企業ニーズに応えるモデルであることを明確に示しました。

<フィリピン(マニラ)>
課題テーマ:How might we create green circular economy by accelerating youth Zero waste initiatives

■マニラチーム①の発表内容

「意識と行動間の橋渡し:マニラ首都圏のフィリピン人Z世代における責任あるデジタル衣類消費の促進」
フィリピン人口の3分の1以上を占め、主要オンライン消費者でもあるZ世代に着目し、ごみ問題対策に向けて、大学生との連携によるZ世代に向けたファストファッション教育とソーシャルメディア戦略を提案しました。提案においてはエコフレンドリー包装の推奨やデジタル衣類消費(アバター用衣服等)の普及を図り、責任ある購買行動を促す戦略としました。

■マニラチーム②の発表内容

「ケソンシティ大学(QCU)向けゼロ・ウェイスト共同カリキュラム政策の提案」
マニラ市内のケソンシティにおける環境イノベーター育成のため「ゼロ・ウェイスト課外プログラム」を提案しました。ゼロ・ウェイスト施策に取り組む動機付けと、実行支援に焦点を当て、ケソンシティ大学での課外クラブ活動、教員アドバイザーの招聘、バランガイ(行政区)パートナーとの連携、課外活動単位制度などが方法として挙げられました。

■講評者からのコメント
Greenpeace Southeast Asia Zero Waste CampaignerのMarian Frances T. Ledesma氏からは、チーム①に対して包装へのアプローチは適切な着眼点であり、今回の提案を向上させるためにも既存のSNSキャンペーンや教育モデルを参照してほしいと助言いただきました。また、チーム②に対しては、詳細な調査をしたことを評価した上でケソン市の機関との協力の可能性を示唆し、実現性が高いと述べました。

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5期のプログラムに参加した学生からは、

「理論的な知識にとどまらず、持続可能な開発やグリーンビジネスモデルについて、実践的かつ包括的な理解を得ることができた。特にチームでのビジネスプラン作成を通して、ESGやサーキュラーエコノミーといった概念を現実世界に応用する力が身についた。」

「日本国内だけでなく、香港、タイ、ベトナムなどアジア各国の意欲的で優秀な仲間たちと強固なつながりを持つことができた。多様な視点との出会いは私にとって非常に刺激的であり、視野を大きく広げてくれた」

「国際的なフィールドワークでは、AI活用や廃棄物処理など、サステナビリティに関する最先端の現場を直接視察する貴重な機会となり、現地の方々や参加者との対話を通じて多角的な視点を持つことができた」

「多文化チームでのファシリテーションや専門家・メンターへのピッチ・フィードバックを通じ、リーダーシップとコミュニケーションスキルが飛躍的に向上した。」

「このプログラムで培った知識とネットワークは、卒業後のインフラ関連の仕事をはじめ、自身の将来のキャリアに必ず活かせると確信している。」

といった感想が寄せられました。

5期目となる今年は、アジア地域へ参加学生の枠を広げ、9カ国から選抜された40名以上の参加者が参加しました。フィールドワークで学んだ各国が抱える環境問題に対して、多様な価値観や文化を持つ学生同士がともに学び、対話を通して解決策を検討することで、アジア地域における国境や文化を超えた協働や相互理解が一層深まりました。

■アカデミー概要
名 称:Green Innovator Academy 5期 学生プログラム
時 期:2025年9月20日~11月30日
内 容:オンラインによる講義、各国でのフィールドワーク 他
参 加:約40名(9か国/地域より選抜された学生)
主 催:一般社団法人 Green innovation
パートナー:Asean Youth Organization、Wofoo Leaders’ Network
共 催:公益財団法人かめのり財団

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