脱炭素社会の実現を牽引する次世代のイノベーター育成プログラム「Green Innovator Academy」の第4期は2024年8月に開講、社会人プログラムには企業や官公庁、自治体の職員、約50名が参加しています。
今期は新規事業立案コースと政策提言コースの2つを実施しています。
政策提言コースでは、アジアのGXの支援、日本の地域脱炭素という2つのテーマを設けて、現場視察を踏まえた上での実効的な政策提言・議論に向け、テーマごとにフィールドワークを企画しています。
本記事では、アジアGXに向けた政策提言に取り組むチームが参加した、タイフィールドワークの様子を紹介します。
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まず、現地で活躍されている、日本とタイの実情に精通した方々をゲストとしてお迎えし、バンコク市内でヒアリングと懇親会を実施しました。今回は、日ASEAN経済産業協力委員会(AMEICC)、日本貿易振興機構(JETRO)バンコク事務所、在タイ日本国大使館、国連環境計画(UNEP)、および視察先企業のCellulosic Biomass Technology Co., Ltd.(CBT)から、5名のゲストにご参加いただきました。タイのGXの現状、日本企業や日本政府との連携、今後の展望について多角的な視点で話を伺い、政策提言に向けた貴重な示唆を得ることができました。
バンコクから飛行機で1時間ほどのタイ東北部ウドンターニーでは、農業資源とバイオ技術を活かした持続可能な経済発展に向けた視察を行いました。この地域はサトウキビやキャッサバなどの生産と加工で有名な地域であり、現在は広大な土地と、農業資源を活かした再生可能エネルギーやバイオマス技術の導入に注力しています。
<マップはタイ国政府観光庁日本事務所より>
次に、タイの代表的な農産物であるキャッサバを加工する事業を展開するCK Corporationの工場を訪問しました。この工場では、廃液から発生するバイオガスや、太陽光発電などをもちいて、製造工程で必要となる主要なエネルギーを再生可能エネルギーで賄っています。工場視察では収穫したてのキャッサバを洗う行程から、製品加工の行程までの一連の流れを見学し、現地社員の方にもCK CorporationのGXへの取り組みについて解説いただきました。
<キャッサバ>
続いて、非可食バイオマス由来の繊維や樹脂、フィルムの原料となるセルロース糖などの製造を行っているCBT社を訪問し、非可食バイオマスの加工工場を視察しました。CBT社の取り組みは、タイ政府からも高く評価されており、同社の事業はタイ政府のBCG(Bio-Circular-Green)経済戦略の主要プロジェクトとしても位置付けられています。CBT社は、近隣にあるキャッサバから澱粉を製造するCK Corporationを含む工場や、サトウキビから砂糖を製造する工場から生まれる残渣(残りかす)を、独自技術を使い加工、有効利用することで、国内外のサステナブルな生産消費の仕組みづくりに貢献しています。
また、現地企業からの視点で、日タイの技術連携や、海外市場でGXを展開する際の課題についても教えていただき、アジアGXにおける政策提言を考える上でのヒントを得ることができました。
一連の視察を終えた参加者からは、
といった感想が寄せられました。参加者は12月21日~22日の2日間にわたって開催する「Green Innovator Forum」での最終発表に向けて、政策提言の検討を進めていきます。
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