
Green Innovator Academy(以下GIA)は、未来を自らより良く変えようとするイノベーターを育成するという目的のもと、2021年に開講しました。5年目の2025年度は、5期生として社会人は企業の若手リーダー、省庁自治体職員などが約50名参加しました。(また並行して大学生を対象としてもプログラムが実施されています)今回は、GIA社会人5期生で経済産業省 製造産業局 生活製品課 所属の山下 大貴さんに参加後のインタビューを行いました。
PROFILE
山下 大貴(やました だいき)氏
所属:経済産業省 製造産業局 生活製品課
2022年入省。入省後、中小企業庁・資源エネルギー庁、内閣府出向を経て、現職。繊維産業を中心としたさまざまな生活製品製造産業において、サステナビリティ政策やサプライチェーン強靭化等の政策に従事。
普段は、生活製品製造産業における様々な課題を、民間の事業者の皆様とともに解決する仕事をしています。なかでもメインの仕事は、衣料品をはじめとした繊維産業に関する、サステナビリティの推進とサプライチェーンの強靭化政策の設計・推進です。繊維産業は、かつては日本の基幹産業ともいわれた産業ではありましたが、今は事業者数や生産量、国内市場規模の低下が著しい一方、世界では自動車・蓄電池・プラスチック等の産業と並んで、サステナビリティを推進していくことを求められる産業であり、様々な政策課題が重なりあう産業です。私は、これらに関する課題の抽出、政策の立案を担当し、我が国の産業の振興に取り組んでいます。
GIAのきっかけは、資源エネルギー庁時代に、共同代表の菅原氏と仕事を一緒にしていたことがきっかけです。エネルギー産業を広く見ながら様々な分野を俯瞰し、横断する仕事をしていましたが、そこでエネルギー産業・政策の奥深さに気づいたこと、また、それは行政のみならず、民間事業者の皆様とともに考えなければならないことだと感じておりました。GIAは、それらを包含した研修プログラムになっており、将来の政策立案を考えても参加した価値があったと感じています。
どの議論も非常に有益でしたが、生産消費システムを学ぶ会や、ルールメイキングを学ぶ会は、サーキュラーエコノミーや標準化等、政府は推進をしているが、民間でそれが主軸として推進がなされていない背景が、経営的観点からも分析ができ、非常に有益でした。行政側にいると、経済システムをマクロの視点でとらえがちですが、事業者の皆様からするとそれでどのくらい稼げるのか、どのくらいの損を防げるのか、別の企業にフリーライドされる懸念を払しょくできるか、等の経営的な議論がまず大前提としてあり、それが解決されて初めて議論のフィールドに乗る、という点が、実務を担う世代と意見交換をするとクリアに見えてきて、非常に学びがありました。それは、現在の仕事においても、絶対に必要な視点だったと確信しています。
2つあります。
まず1つ目は、事業性を見極める能力です。新規事業は、誰の、なんの課題をどのように解決し、それにお金を支払う人は本当にいるのかという要求に対して、事業の中身や方向性をひたすら回し続ける作業です。その意味で、その問を真に考え続ける3か月だったように思え、この考え続ける能力と、これなら経営的な視点でロジカルに説明出来るのでは?という感性は磨かれたと思います。
2つ目は、それを政府の立場で検討する経験です。私が新規事業を考える際、ポイントになったのは「これを誰の立場で作るか」という点です。それに対し、事務局は迷わず、「経済産業省、もしくは政府」と解答をしました。その瞬間から、私は一人で「政策立案コース」を一人で行うこととほぼ同義、かつ作り方のフレームは全くしたことがないものとなりました。これは、自らが行政官であることからも、理想過ぎてもいけない、他方で現実味がありすぎてもユーザーがつかないというジレンマに陥り、非常に苦労しましたが、皆様のご助言もいただき、無事に完成することができました。本当に、周りの参加者に恵まれたと感じています。

新規事業合宿です。最初は、私がこの人生で大事にしていることや、なぜこの選択を過去にしたかということを周りに開示することから始まりました。それは、自らの事業案を、より自分事にするために必要なプロセスだったのだと思いますが、私にとっては、なぜ自分は、(理工系の大学院生から)行政官になったのか、そのうえで何がしたいのか、ということまで深堀をする大変意義深い機会になりました。また、企業から参加された参加者からは、「その考えはいいと思う。」「そういう公務員がいてくれると思うと、私も(企業で)もっと頑張りたい」という言葉をいただけたことは大変ありがたく、普段は感じないやりがいを感じることができました。
本当に様々な方と毎回意見交換をさせていただきましたが、ほぼ毎回現地であっていた新規事業立案の参加者とは、毎回とても楽しい意見交換をさせていただきました。特に、エンジニアの方、金融機関の方、それから行政官といった様々な参加者が、それぞれから見える景色、これまで培われた経験を活かして、あるべき姿はなんなのか、なぜ理想通りにいかないのか、そのような中で世の中はどうすればよくなるのか、ということを、真剣に議論をしていたことを思い出します。具体から抽象まで、マクロからミクロまで、様々な角度で議論し、時に衝突もありましたが、真剣に、かつ笑顔で意見をぶつけあえるような環境は、大人になるとなかなかないなと感じ、非常に刺激のある半年だったと感じています。

まず、足元の業務では、様々なステークホルダー、特に生活者や事業者の皆様の立場で考える回数が増え、かつその解像度がとても上がったように感じています。本当にその政策は必要とされているか、あれば欲しい程度の政策になっていないか、税金を投じる必要のある政策か、役所の内部だけでなく、生活者や事業者の皆様に胸を張って説明できるか、という点を常日頃から考えるようになりました。漠然と政策や書類を“詰める”という行動を行ってきましたが、その理由をより明確に、より鋭利にすることをしていきたいと思います。
また、自らの業務を離れて考えると、GIAで自らのイノベーター像について考える機会をいただいたことをきっかけに、改めて日本から、将来の生活の基盤となるイノベーションを起こすためにはどうすべきか、ということを考える機会が増えました。そのためには、経済産業省職員として何ができるか、一個人として何ができるか、できることは小さくても、日々考え、少しでも行動していきたいと思います。
私は、「まだ見ぬものに新たな価値を与え、行動変容を起こすイノベーター」をめざしたいと考えています。
私は、日本から将来の生活の基盤となるイノベーションを起こしたいと考え、経済産業省に入省しました。私が科学技術・イノベーションに興味を持ったきっかけは、10年以上前に、日本中のブラウン管テレビが薄型液晶パネルに変わったことに驚嘆したことです。ここから、「将来の生活の基盤となるイノベーションを起こしたい」と言う思いで材料工学を学び、その後、就職しましたが、経済産業省に入省しても想いは一貫して変わらず、引き続き、我が国からイノベーションを起こしたいと思い続けています。
また、今回、GIAで学んだことは、イノベーションとは、新たな価値を作り出し、その価値を具現化することであるということです。今回、新規事業立案コースで、参加者から生み出された数ある事業案はすべて、現在この社会にはない価値で、社会全体の行動変容を起こす可能性があるものであると感じました。もちろん、行政の立場に立ちかえれば、現実にはもうエコシステムが出来上がっていることから、そのエコシステムを超えて新たなものを導入するためには、様々な影響とコストがかかることを考慮しなければいけないのは、当然のことであると理解しています。それでも私は、本研修も含めたこれまでの様々な経験を通じて、より豊かな道に続く変革の実現を起こすため、「まだ見ぬものに新たな価値を与え、行動変容を起こすイノベーター」を目指したいと考えています。
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