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コラム:ベネズエラ介入が示した「エネルギー供給構造」の転換点

コラム:ベネズエラ介入が示した「エネルギー供給構造」の転換点

<コラム執筆者>
前田 雄大 脱炭素専門エネルギーアナリスト (Green Innovator Project 実行委員会 アドバイザー)

1月3日、米国は軍事作戦を通じてベネズエラの政権中枢に直接介入した。この出来事は、国際政治の観点だけでなく、エネルギー供給構造の再編という点で、企業にとっても無視できない意味を持つ。
ベネズエラは世界最大級の原油埋蔵量を有する一方、政治混乱や投資不足により、生産量は長年低迷してきた。いわば「埋蔵量はあるが供給できていない資源国」である。この未活用の供給余力に、米国が政治・軍事・資本を組み合わせて関与し始めたことは、単なる政変ではなく、供給能力そのものを再設計しようとする動きと見るべきだろう。

実際、軍事作戦後には、米国主導でベネズエラの原油生産を立て直す構想が報じられており、市場でも将来的な供給増を見込んだ価格調整が起きている。これは、原油が「地政学リスクの塊」から「調整可能な供給源」へと位置づけを変える可能性を示唆する。
企業にとって重要なのは、この動きがエネルギー市場のボラティリティを左右し得る構造変化である点だ。特定地域(中東・ホルムズ海峡)への過度な依存は、依然として多くの国・企業にとってリスクであり、西半球における供給余力の拡大は、調達ポートフォリオの再検討を促す。
また、この動きは脱炭素戦略とも無縁ではない。短中期的には化石燃料の供給増はエネルギー価格を押し下げ、再エネ投資の相対的魅力を低下させる可能性がある。一方で、価格変動リスクを抑えた上でGX投資を進められる環境が整う、という見方も成り立つ。つまり、化石燃料と脱炭素は対立軸ではなく、時間軸の異なる経営判断の問題になりつつある。

今回のベネズエラ介入は、エネルギーが再び「国家と企業の競争力を左右する戦略資源」として前面に出てきたことを示している。企業に求められるのは、価値判断ではなく、供給構造がどう変わり得るのかを冷静に読み、調達・投資・GX戦略を再設計することだろう。

一言で言えば、
「ベネズエラ事案は、エネルギー供給構造が動いたシグナルである」。

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