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【卒業生インタビュー】 研究から社会実装へ—踏み出した先で見つけた選択肢(日本GX総合研究所 鳥井要佑氏インタビュー)

【卒業生インタビュー】 研究から社会実装へ—踏み出した先で見つけた選択肢(日本GX総合研究所 鳥井要佑氏インタビュー)

Green Innovator Academy(以下GIA)は、「未来を自らより良く変えていこうとするイノベーターの育成」を目的に、2021年に開講しました。企業の若手リーダーやベンチャー企業のCEO、省庁・自治体職員、学生など、多様なバックグラウンドを持つ人材が集い、環境・GX領域の第一線で活躍しています。

環境課題への対応が、企業価値や競争力に直結する時代。とりわけカーボンクレジットや環境情報開示、GHG算定といった領域は、制度・技術・市場が同時に動き、企業の意思決定に直結するテーマです。こうした複雑な分野において、研究や制度と現場をつなぎ、実装へと導く“橋渡し役”の存在感は、年々高まっています。

今回は、GIA第1期生として参加し、植物の基礎研究から環境分野の社会実装へと軸足を移した鳥井さんにお話を伺いました。修士課程から博士課程、そしてスタートアップでの代表職へ。一貫して「環境問題の本質的な解決」を追い続けてきた歩みから、次世代の環境人材に求められる視点と行動力を探ります。


PROFILE
鳥井 要佑(Torii Yosuke)氏
株式会社日本GX総合研究所 共同代表取締役
東京大学大学院農学生命科学研究科にて植物の基礎研究に従事。修士課程在学中にGIA第1期生として参加。その後、博士課程に進学するも、社会実装への関心から休学を経て現職へ。研究分野では、窒素栄養に対する植物の応答メカニズムを専門とする一方、森林保全や未利用バイオマスの活用など社会実装寄りの活動にも取り組んできた。現在は、GX戦略立案、GHG算定、環境情報開示支援、カーボンクレジットの創出・運用支援などを通じ、企業の脱炭素化と価値創造の両立を支援している。


「まずは挑戦してみよう」—GIAは学びとつながりを広げる一歩だった

― GIAと出会ったきっかけを教えてください。

修士1年の学生だった当時、研究の傍ら、気候変動や環境問題に関心を持ち、一般社団法人SWiTCHの立ち上げにも関わっていました。そんな中、一緒に活動していた仲間から「こんなプログラムがあるらしいよ」と紹介されたのが、GIAを知ったきっかけです。

当時は、分野を限定せずにさまざまな人とつながり、視野を広げていきたいと考えていました。詳しい内容よりも、「まずは挑戦してみよう」という気持ちが先に立ち、1期生で前例がないことも含めて、「きっと刺激的な出会いがあるはずだ」と感じて応募しました。

― どんなところに期待していましたか。

環境やグリーンといっても、分野がすごく広いですよね。森林や農業、環境教育といった自分の得意な領域だけではなく、より広範囲に学べることを期待していました。エネルギーミックス全体の話や、グローバルの潮流など、広く学びたいと思っていました。

― 実際にGIAに参加してみてどうでしたか。

GX概論の講義には、すでに知っている内容も含まれていましたが、だからこそ分からない部分を深掘りしたり、講師の方に直接質問したりできる貴重な機会だと捉えていました。講義は事前にオンラインで視聴し、当日は議論やQAに集中できる仕組みになっているため、インプットとアウトプットのバランスが非常に良かったと思います。「考える時間」を最大化できる設計でした。

中でも特に印象に残っているのが、政策提言のチームワークです。初めて取り組む領域でしたが、メンターの方から厳しいフィードバックを受けながら、密に連携して鍛えていただきました。チームで役割分担し、ゼロからプロジェクトを形にしていく経験は、現在の仕事にも大きく生きています。

視野が広がり、キャリアの選択肢が広がった

― GIA参加前後で変化したことはありますか。

キャリアがすぐに変わったわけではありません。ただ、GIAを通じて、機会や人とのつながりが一気に広がりました。またGIAという「共通言語」を持てたことで、自然とつながりが続いていきました。大学内に限られていたネットワークが、環境分野全体へと広がり、選択肢が増えたことが一番の変化です。

― GIA卒業後の経歴を教えてください。

修士課程修了後、博士課程に進学しましたが、半年ほどで休学しました。休学中にスタートアップ企業へ入社、その後、子会社の代表を務めることになり、退学を決めました。

― スタートアップ企業との出会いのきっかけを教えてください。

GIAの同期が企画した三重県のサステナブルツアーで、海洋プラスチック回収・アップサイクル事業を手掛ける経営者と出会ったことがきっかけです。そこから現在の会社を紹介していただき、実際の事業現場にも触れる中で、「自分もこの環境で挑戦してみたい」と感じるようになりました。

スタートアップのスピード感や実行力に強く刺激を受けたことで、「ここはいったん実装に振ってみよう」と決断しました。こうして、研究中心だった活動から、社会実装へと軸足を移していきました。

脱炭素を、企業の価値創造につなげるために

― 現在の仕事内容について教えてください。

GXやDXに関するコンサルティングを行っています。GHG算定、情報開示、クレジットの創出・調達などを支援しながら、企業の戦略策定にも関わっています。脱炭素に取り組むことで、企業の価値が高まり、方向性が明確になる。そこまで伴走できる存在でありたいと思っています。実装面でも、大学発スタートアップと連携したCO₂固定化技術の開発支援など、研究と実装をつなぐプロジェクトに取り組んでいます。

― GIAのつながりで、新しい連携が生まれたと聞きました。

一般社団法人Green innovationの菅原代表やアカデミー担当の浦田さんが関わっておられる「STARTUP HOKKAIDO実行委員会」とのご縁をいただき、お繋ぎいただいたのが一般社団法人スマート農業共同体(SAc)です。2025年12月より、SAc会員企業を対象とした「CO₂削減・カーボンオフセット支援コンサルテーション」をローンチしました(プレスリース)。これはGX推進に取り組む企業と地域社会の持続可能な発展に寄与する取り組みです。

また、GIAで出会った仲間たちと一緒に、エネルギーの未来を描くプロジェクトを進めています。水素や原子力など異なる専門分野を持つメンバーと、バックキャスティング的に未来像を描く実験的な取り組みです。(イベント情報

自分のスタンスを持ち、学び続けた先に未来はある

― 環境問題への向き合い方で大切にしていることは。

自分なりのスタンスを持つことです。環境問題には多様な側面がありますが、その中で「自分たちはどう考えるのか」を明確にしたうえで議論することが大切だと思っています。そのためには、納得できるコンセプトを持つことが欠かせません。定量的なデータだけでも、理想やビジョンだけでもなく、実現したい未来を具体的に描くことが重要だと考えています。そうしたスタンスを支えるためにも、常に学び続け、自分の考えをアップデートしていく姿勢を意識しています。

― 最後に、未来のGIA参加者へメッセージをお願いします。

まずは、思い切って一歩踏み出してみることに価値があると思います。参加してみて初めて見えてくる選択肢や可能性も、きっと多いはずです。少しでも気になったら、ぜひ応募してみてください。

環境やGXの領域には、これからも長く関わっていくつもりです。GIAを通じて出会った皆さんと、いつか同じ現場で一緒に仕事ができることを、楽しみにしています。

― 本日は貴重なお話をありがとうございました!

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