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【卒業生インタビュー】 次世代のインフラをつくる ― GIAで“自分を追い込んだ”卒業生の挑戦(グリーングロース 河野淳平氏インタビュー)

【卒業生インタビュー】 次世代のインフラをつくる ― GIAで“自分を追い込んだ”卒業生の挑戦(グリーングロース 河野淳平氏インタビュー)

Green Innovator Academy(以下GIA)は、「未来を自らより良く変えていこうとするイノベーターの育成」を目的に、2021年に開講しました。これまでに、企業の経営幹部候補や若手リーダー、ベンチャー企業のCEO、省庁・自治体職員、学生など、2025年12月時点で500名を超える卒業生を輩出し、社会の幅広い分野で活躍されています。

太陽光発電の導入が急速に進む一方で、出力制御や需給調整といった新たな課題が顕在化している日本の電力システム。その最前線で、蓄電池を活用した新しい事業モデルに挑んでいるのが、株式会社グリーングロース代表取締役の河野淳平氏です。2023年に参加したGIAでの経験が自身をどのように変えたのか、お話を伺いました。


PROFILE
河野 淳平(Kawano Junpei)氏
株式会社グリーングロース 代表取締役
福岡県北九州市出身。早稲田大学卒業後、株式会社レノバにて再生可能エネルギー発電所の事業開発に従事。独立後、再エネ・蓄電池の導入支援および再エネインフラの価値創出を目指す株式会社グリーングロースを創業(2022年設立)。再生可能エネルギーの開発・運用・コンサルティングまでを一気通貫で担う事業を展開している。


「このままでは伸びない」──独立後に感じた限界

― 起業に至った背景を教えてください。

もともと環境問題への関心がありました。温暖化といったグローバルな課題に対して、実務の側から関われる仕事をしたいと思い、新卒でレノバに入りました。入社後、太陽光発電やバイオマス発電、洋上風力発電等のマルチ電源の事業開発を経験する中で、再エネが社会実装されていくダイナミズムを間近で見ることができました。一方で、どこかで「自らの手で事業を創出し、社会の課題を解決していきたい」という思いが強くなり、3年半ほどで独立を決めました。

― 独立後は、どのような状況だったのでしょうか。

最初は個人事業主として、複数の再エネ事業者から業務委託でコンサルティングの仕事を受けていました。再エネ業界では、電力小売、アグリゲーター、需要家など、電源開発以外にも多様なプレイヤーが関わっています。仕事を通じて、そうした領域を勉強させてもらえたのは大きかったですね。ただ、1年半ほど経った頃に、この形のままでは受託に依存し、組織をつくってスケールさせていくことは難しいという実感がありました。個人事業主としての働き方には、どうしても構造的な限界があります。

GIAへの参加──「やらざるを得ない環境」を求めて

― そのタイミングでGIAに参加されたのですね。

はい。プロダクトやサービスを作らなければいけないと頭では分かっていても、業務に追われる日々を繰り返していました。そんな中でGIAのことを知りました。GIAには、新規事業コースでゼロイチを立ち上げること、また発表(最終プレゼン)という明確なアウトプットがあり、「期限までに形にしなければならない」環境があると聞いていました。自分を追い込むための場として、参加を決めました。

― 実際に参加してみて、印象に残った点は。

再エネ業界に長くいると、どうしても自分の専門領域の中だけで物事を考えがちになります。GIAでは、農業、地域経済、政策、ルールメイキングなど、再エネを取り巻く周辺領域の話も多く、自分の視野の狭さを突き付けられました。「事業を創る」だけでなく、「制度や仕組みをどう変えるか」という発想は、その後の事業構想にも大きな影響を受けました。

― 最終プレゼンでは、どのような事業を提案したのですか。

太陽光発電の導入が進む中で、出力制御が常態化しつつあるという問題に着目しました。特に九州などでは、せっかく発電できても電気を流せない時間帯が増えています。そこで、既存の太陽光発電所に蓄電池を後付けし、電力を貯めて最適なタイミングで活用する仕組みを提案しました。


<2023年12月のGIA最終発表の様子>

― 反応はいかがでしたか。

「蓄電池は高すぎる」「スタートアップがやるビジネスではない」という、かなり率直なフィードバックを受けました。蓄電池は1件あたり数億円規模の投資になるため、大手企業の与信力を前提としたモデルが一般的だ、という見方です。

当時は正直、悔しかったですね。ただ、その指摘があったからこそ、資金調達の在り方や、リスクをどう分散するか、自社が提供する付加価値等について徹底的に考えるようになりました。


<2023年12月のGIA最終発表の様子>

市場の手応えと成長──「これは違う」と確信した瞬間

― 事業としての手応えを感じたのは。

最終プレゼンののち、自ら徹底的にビジネスモデルを磨きました。その後、満を持して開催した2024年4月の自社ウェビナーが転機となりました。出力制御に悩む発電所オーナーは想像以上に多く、問い合わせが一気に増えたのです。それまでにも新規事業をいくつも考えてきましたが、この反応は明らかに違いました。

― 現在のビジネスモデルの特徴は。

発電所オーナーの立場に伴走し、蓄電池、施工、エネルギーマネジメントシステムを分割発注し、全体をマネジメントする点です。初期投資を抑えつつ、導入後はアグリゲーションによる長期的な収益を生み出します。プロジェクトマネジメントという伴走支援と、アグリゲーションという中長期的な支援の組み合わせは、商流を横断するユニークな支援の在り方となっています。


<グリーングロースが実際に導入を支援した初の蓄電池設備>

次世代のインフラへ──再エネの総合商社を目指して

― 社会の変化も著しい中、再エネへの向き合い方も変わりつつありますよね。

変わりました。以前は、温暖化対策や環境負荷低減という文脈が中心でしたが、今はエネルギー安全保障の視点を強く意識しています。分散型で国内にエネルギー源を持つことは、有事への備えとしても重要です。再エネは「環境に良い」だけでなく、「国の基盤を支えるインフラ」になり得ると考えています。


<グリーングロースが蓄電池併設を支援する初の太陽光発電所>

― 今後の展望を教えてください。

「次世代のインフラを作る」というミッションのもと、2030年までに1GW規模の電力量を確保し、それをモビリティなど別の分野にもサービスとして展開していきたいと考えています。目指すは「再エネの総合商社」です。売り物ありきではなく、課題ファーストで伴走できる「再エネのかかりつけ医」のような存在になりたいと考えています。地域経済や生活者にとっての価値を丁寧に示していくことが、本当の意味で再エネが社会に根付くインフラになると信じて、これからも走り続けます。

― 最後に、GIAへの参加を考えている方へメッセージをお願いします。

GXやグリーン分野で、本気で社会を変えたい人には非常に良い環境だと思います。幅広いステークホルダーを巻き込みながら物事を進める視点を叩き込まれ、実践できる場が用意されています。最後はもちろん自分次第ですが、覚悟を持って挑む人には、大きなリターンがあると自信を持って言うことができます。ぜひチャレンジしてみてください。

― 本日は貴重なお話をありがとうございました!

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