
脱炭素社会の実現を牽引する次世代のイノベーター育成プログラム「Green Innovator Academy」の第5期は2025年8月に開講、社会人プログラムには企業や官公庁、自治体の職員、約50名が参加しています。今期は新規事業立案コースと政策提言コースの2つを実施しています。 政策提言コースでは、アジアのGXの支援、日本の地域脱炭素という2つのテーマを設けて、現場視察を踏まえた上での実効的な政策提言・議論に向け、テーマごとにフィールドワークを企画しています。本記事では、地域脱炭素に向けた政策提言に取り組むチームが参加した、鹿児島県日置市フィールドワークの様子を紹介します。
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日置市では、日置市役所の担当者とともに、計5か所の取り組みを視察しました。
1日目は、日置市役所に伺いました。日置市長にもご同席いただき、担当者から日置市における脱炭素政策の現状について紹介を受けた後、現在取り組みを進めているエコツーリズムの可能性について議論を交わしました。

その後は日置市吹上浜沿岸に移動しました。Iターン移住し漁師として活動する佐々祐一氏に、特産品である月日貝の養殖現場を案内いただきました。養殖試験場では、月日貝を幼生から生育する過程を見学し、温暖化の影響を踏まえた生産拡大の展望について伺いました。参加者は実際に月日貝を試食し、地域の漁業が持つ可能性を舌でも感じる機会となりました。

2日目の午前中は、小平株式会社本社の施設であるHARBORを訪問しました。同社は1912年に鍛冶屋として創業し、現在はエネルギー、IT、国際貿易など多角的な事業を展開する地域商社です。鹿児島から世界へと事業を広げてきた歴史を伺いながら、地域に根ざしつつ国際的に事業を展開する「グローカルビジネス」についてご紹介いただきました。その上で、今後どのような地域ビジネスを展開していくかについて議論しました。

その後は、フォレストアドベンチャー・吹上浜を訪問しました。同施設は、日置市の市木であるクロマツを活用し、自然の森をそのまま活かした環境配慮型のアウトドアパークです。「よくわからない森林管理をより身近に」というコンセプトのもと、参加者は防風林として機能するクロマツ林の中に設置されたアスレチックを体験しました。森を楽しみながら、森林が果たす役割を体感する機会となりました。

2日目の午後は、「捨てない社会をかなえる」をミッションに掲げる循環商社・株式会社ECOMMITのECOBASE KAGOSHIMAを訪問しました。同施設は巨大な鉄工所跡地をリノベーションした循環拠点で、全国から集められた不用品がリユース・リサイクル商品として再び流通する現場を視察しました。選別から再商品化までの一連のプロセスを見学した後、再商品化された商品を活用した事業展開についてヒアリングしました。参加者は実際に商品を手に取り、購入する姿も見られました。

一連の視察を終えた参加者からは、
「現場の熱量や、アクションを起こしている人に会うこと、お話できたことで、またモチベーションが上がった。」
「再エネ促進において地域の合意形成が重要視されているが、ただ説明するだけではなく、どうしたら協力したいと思ってもらえるかを考え、双方向のコミュニケーションがとれるような姿勢をとっている日置市のお話を聞いて、大変勉強になった。」
「ホームページやSNSではない、「リアル」を知ることが出来たことはとてもよかった。」
といった感想が寄せられました。参加者は12月20日~21日の2日間にわたって開催する「Green Innovator Forum」での最終発表に向けて、政策提言の検討を進めていきます。
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