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【GIA 関西学院大学特別演習】 六甲バター株式会社とフィールドワークを実施しました

【GIA 関西学院大学特別演習】 六甲バター株式会社とフィールドワークを実施しました

一般社団法人Green innovation は関西学院大学における初めての脱炭素テーマ演習として2023年度より開始された「PBL特別演習012『Green innovation』」の運営をサポートしています(2024年度も継続して運営に携わることが決定しています)。
本科目では、GXに関する講義のほか、ゲスト講師による講義やフィールドワークでの学びを通してGXに関する基礎学習はもちろん、実践現場への訪問や多様なアクターとの意見交換など、脱炭素人材としての基礎的な理解や多角的な視座を養うことを目的としています。2024年度はフィールドワークとして株式会社ピエクレックスならびに六甲バター株式会社を訪問させていただきました。
本記事では、兵庫県神戸市の神戸ワイナリーにて行われた六甲バター株式会社のフィールドワークを紹介します。

今回のフィールドワークでは、六甲バター株式会社の事業内容や、主力製品であるチーズに関わる牛を取り巻く諸問題、フードロス対策、植物性代替食品について、六甲バター株式会社 事業開発部 事業企画チームの安木亮佑様に講義をしていただきました。

また、体験プログラムとして神戸ワイナリーの栽培試験中のワインブドウに、プロセスチーズの製造過程で出てしまう廃棄チーズをアップサイクルして作られた肥料を撒く体験を行いました。

チーズ肥料は、フードロス対策の取り組みで行っている、『QBBエコシステム』の一つとして開始されたもので、農林水産省が推進する「みどりの食料システム戦略」で掲げられている、「2050年までに輸入原料や化石燃料を原料とした化学肥料の使用量を30%低減」の実現に向けて、製造過程で発生する廃棄チーズを活用した有機肥料づくりに取り組んでいます。

このチーズ肥料は今までさまざまな種類の作物で検証が行われており、その中でも現在はワインブドウの栽培に使用されています。
神戸ワイナリーのワインブドウは樹齢40年で品質が良い葡萄を栽培するため、高さが低く横長い木となっており、日に当たりやすく風通しの良い環境作りのための工夫が施されていました。

成長した木からおおよそ5キロほどの葡萄を収穫することができ、そこから約5本分のワインが作られています。

施肥体験後、チーズ肥料と化学肥料や魚粉、牛糞や鶏糞を含むさまざまな既存の肥料との比較も行いました。鶏糞や牛糞といった家畜の糞を堆積した動物性堆肥は発酵前ではきつい匂いを発していますが、発酵していくにつれ匂いが薄れていたことが特徴的で、参加者からは「チーズ肥料は魚やふりかけのような匂いがする」との声もありました。また、廃棄チーズでできたチーズ肥料は、他肥料に比べて成分的に劣後するものではないが、栽培試験を通して作物や圃場の環境に左右されてしまうことがわかっており、部分的な置き換えが有効ということも学びました。現在のチーズ肥料は粉状ですが、今後は施肥を容易にし、土壌に吸収されやすいものへと改善する為にペレット化された肥料を開発中とのことです。​​​​​​​

プログラムの最後に、現在発売中のプラントベースチーズである 『Pシュレッド』の試食も行いました。『Pシュレッド』は、環境問題をはじめとしたさまざまな社会問題に対して「食の選択こそ問題解決のカギである」という思いのもと作られた植物性代替食品です。アーモンドを使用することで、チーズのようなコクと濃厚な味わいが再現されていました。参加者から「今まで植物性の食品を手に取ったことがなく、値段が高くてあまり美味しくないものだと想像していましたが、実際には動物性のチーズと遜色なく驚いた」「普段食べているチーズよりも濃厚で、個人的には普段食べているチーズより好き」との声が上がりました。食の多様性と持続性に貢献し、“「おいしい」で未来を健康に”の実現を目指し、現在も開発が続けられています。人々の認識・行動を変えることを目標に、植物性チーズの購入までの敷居を低くするため、2025年大阪・関西万博で大阪ヘルスケアパビリオンのフードコートに出展し、『Pシュレッド』を活用した美味しいメニューを提供する予定とのことです。

一連の視察を終えた参加者からは「実際に施設を訪れることで、六甲バター様が取り組んでいる施策を理解できたことはもちろん、こだわりや思いを肌で感じることができた」「廃棄チーズを利用した肥料づくりは無駄を軽減するだけではなく、新たな食のサイクルを生み出す可能性を秘めていると感じた」「チーズは環境負荷が大きい生産物である一方で、だからこそ環境という面から取り組む価値があり、廃棄チーズの肥料化はもちろん、その他にも新たな可能性を秘めていることが分かった」「環境に優しい事業を実施する背景には、資金面や開発面での困難を乗り越えるための地道な努力の積み重ねがあること、そしてその事業から生まれた商品が消費者に受け入れられるためには相当な努力と時間がかかるということを知った」といった感想が寄せられました。

脱炭素事業に取り組む企業の実践現場を訪問し、その後の質疑応答においても、脱炭素社会の実現に向けた積極的な議論が交わされ、次の行動に繋がる大変貴重な機会となりました。

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